交流学習初心者のためのQ&A集

交流学習をしていたら・・・? 
 

 このページでは、交流学習をはじめた時に起こるかもしれないトラブルや、実践をすすめていく上での疑問点を7つ取り上げました。

  • 【Q9】掲示板に不適切な書き込みがあったら場合、どうしたらよいですか?
  • 【Q10】テレビ会議をしてみたいのですが、種類やしくみについて教えてください
  • 【Q11】教師の事前打ち合わせはどのようにしたらよいでしょうか?
  • 【Q12】交流を継続させるための留意点について教えてください
  • 【Q13】児童につけさせたいコミュニケーションスキルとは?
  • 【Q14】交流学習でしか身につかない力はありますか?
  • 【Q15】交流学習の評価の方法について教えて下さい。

 

Q9】掲示板に不適切な書き込みがあったら場合、どうしたらよいですか?
 
掲示板を使って子ども達が交流していて、少し慣れてくると、不適切な書き込みが出てくることがあります。 自分の学校の場合もありますし、相手校からそのような書き込みがある場合もあります。
どのように指導するのがいいのでしょうか。

 


  交流で掲示板やチャットを使っていると、 必ず1度や2度は遭遇する問題ですね。顔の見えない相手とのコミュニケーションでは、どうしても誤解があったり、相手の気持ちを考えられなかったりすることがあります。こういった問題で難しいのは、明らかに不適切な発言の場合と、そういうつもりはなかったのに、受け取られ方によっては相手が傷ついてしまう場合もあること。それは大人どうしでメールでやり取りしていても同じことですね。

 交流のはじめの頃は、事前にどのような書きこみをされたら気分が良くないか考えさせたり、教師が1通1通送る前にチェックしたりされてます。掲示板に書きこむ時も2人ペアで、内容を考えさせることもできるでしょう。また、テレビ会議や自己紹介カード、お土産を贈るなどして、相手の顔が見える関係に近づけていくことも大切です。

 それでも起きてしまった場合、掲示板では、1)管理者による削除 2)教師による削除 3)書いた本人による削除が対応としては考えられます。ただ、一方的に削除するのではなくて、学級内で話し合ったり、本人と面談するなど、大事な指導の機会として活かしていくことがポイントです。

 相手の学校からの不適切な発言は、子どもたちにとってもショックでしょうし、扱いが難しいところです。ただし、そこでいきなり相手の学校の先生に苦情を伝えるのでは、教師間の交流がギクシャクしてしまいます。日ごろから先生の間で、お互いのクラスの様子が伝わるようなやりとりをされているか、教師どうしの信頼関係が築けているかが問われます。

 たくさんの学校が参加しているプロジェクト型の交流学習では、教師間の意思疎通がよほどしっかりしていないと対応が難しいですね。プロジェクトのコーディネータの人に介入してもらいつつ、こうしたトラブルもプロジェクトみんなの財産の1つとして、考えていけたら良いですね。

 さらに言えば、どういった発言が「不適切」か?というモラルの基準は厳密に同じではないことも理解しておくべきでしょう。「そんなつもりじゃなかったのに」ということは大人でもよくあります。相手の立場、考え方をどこまで理解できるか?は交流学習をする上でかかせない学びだと思います。

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【Q10】テレビ会議をしてみたいのですが、種類やしくみについて教えてください
 

 本校では、電話回線を利用したテレビ会議システムを活用してテレビ会議を行っていますが、今は「テレビ電話」といっても様々な種類があるようです。その種類としくみについて教えてください。また、テレビ会議をするために必要な機器や購入方法等を教えてください。

 
テレビ会議は現在、大きく分ければ1)ISDN回線によるもの 2)ADSLなどインターネット回線によるもの 3)携帯電話を使用の3種類になります。

1)ISDNの場合
 「フェニックス」が有名ですね。学校現場では、「こねっとプラン」の時に全国にフェニックスのついたPCが配布されたこともあり、交流学習ではよく利用されています。
<メリット>
 ・安定した画質・音声が得られる
 ・専用端末による簡単操作
 ・ビデオカメラやプロジェクタへの接続が容易
<デメリット>
 ・ISDN回線が必要
 ・相手校までの電話料金がかかる
 ・3箇所以上では、多地点接続ポイントの予約が必要
 ブロードバンド化がすすみ、ISDN回線自体、少なくなってきていますので、これから主流になることはないでしょう。

2)インターネット回線の場合
 専用ソフトを使う場合(NetMeetingなど)とWebブラウザ上で使用するタイプに大きく分かれます。
<メリット>
 ・接続料金が不要(ものによっては月額の利用料が必要なものも)
 ・3箇所以上の会議も簡単
 ・高速回線であればフェニックス以上の画質・音質が可能
 ・チャット機能、ホワイトボード共有、プレゼンテーションの共有など多機能なものもあり
<デメリット>
 ・学校の接続環境に左右される(ファイアウォールなどがあると設定がかなり難しい)
 ・回線が安定しない場合がある
 ・設定が難しい(一度できてしまえば簡単ですが・・・)

3)携帯電話によるもの
 現在は、NTTドコモの「FOMA」がテレビ電話対応ですね。画質は今のところISDNと同等です。
<メリット>
 ・とにかく手軽。操作も簡単
 ・学校外で使ったり移動しながら使うなど、活用の幅が広い
 ・ISDNのテレビ電話とも接続できる
<デメリット>
 ・料金。学校で携帯電話を契約できるか?という問題も。
 ・1対1が前提でクラス対クラスには不向き。
 ・他の機器と接続が難しい。

 いまだどれも一長一短ですね。少なくとも交流相手が同じツールをもっていないことには、どうにもなりませんが・・・。それ以外にテレビ会議をするには、カメラ、マイク、スピーカが必要です。それぞれ簡単にご紹介します。

●カメラ:パソコンにつなぐ場合、デジタルビデオカメラかUSBカメラ(PCカメラ)が使用可能です(キャプチャボード搭載PCではアナログのビデオカメラも可)。いちばん手軽なのは、USBに接続するものです。普通のデジタルカメラとして使えるものもありますね。欠点はコンパクトなものの場合、1対1利用が前提なので、グループどうし、学級どうしのテレビ会議には不向きです。デジタルビデオカメラについては、IEEE1394(iLink)端子と接続ケーブルが必要になります。

●マイク:パソコンのマイク入力は「3.5mm(ステレオ)ミニプラグ」です。インピーダンスに注意が必要ですが、放送室のマイクを使う手もあるでしょう。パソコンに直接入力できないときは、ビデオカメラのマイク⇒ビデオのヘッドフォン端子⇒パソコンのマイク入力という手もあります。

●スピーカ:マイクと端子の形は同じです。1対1で使う場合ヘッドセットマイク を使うと、マイクもスピーカもこれ1つですみますが、グループで使う場合はそうはいきませんね。PC用のスピーカを使うか、変換ケーブルでテレビに接続することもできます。

●テレビまたはプロジェクタ:学級対学級でテレビ会議するなら、やはり大画面で交流したいもの。大きなテレビや、プロジェクタに接続して表示すれば臨場感抜群です。ただし、注意点としては、カメラとスクリーンの位置。画面に向いて話をすると、自然にカメラの正面になるように位置を調整しましょう。お互いの目線があった状態で自然に話ができるのが理想です。

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【Q11】教師の事前打ち合わせはどのようにしたらよいでしょうか?
 

その1:現在交流している4校の担任全員でメーリングリストを作って情報交換をしていており、自分はそのリーダー兼管理人です。お互いが連絡を密に取り合うことが交流活性化のポイントの一つと考えます。そのために、リーダーとしてどのようなことをしたらいいでしょうか。

その2:ようやく相手校が見つかりました。相手校の教師とこれから打ち合わせをします。お互いの学級の情報や何の学習で交流するかといったことを打ち合わせしようと思っていますが、その他に何を打ち合わせたらいいのでしょうか。

 


 テレビ会議における教師の意識の変化は、「環境」→「内容」という話を聞いたことがあります。交流当初は、声が聞こえるか・ネット環境は?・交流する時の子どもの立ち位置は?などの「環境」が気になる。しかし、交流が密になっていくと、この学習でどんな力をつければいいのかという「内容」に意識が向かっていくということです。つまり段階があるということだと思います。

大きく整理すると、最初の段階の打ち合わせの内容としては、次の3つがメインになると思います。

1 テーマ
2 学校の基礎情報
3 環境

 まず、お互いに交流学習の目的を確認しなければいけないと思います。共同研究がしやすいのですが、交流そのものが目的でもいいと思います。その中で共通テーマをまず見つけることが第一と考えます。
 次にそのテーマに基づいた活動やスケジュールを考える点で必要なのは、学校の基礎情報です。たとえばお米をテーマにした学習だったら、学校田がある場合とない場合があります。また大きな行事予定は学校によって違いますから、共同学習をいつ行ったらいいかということも考える必要があります。基礎情報を交換する中で、「こんな活動が〇月ごろできそうだ」というメドがつくと思います。
 むろん学校の情報機器の環境で交流学習で使うツールもある程度規定されます。

   この段階を越えたら、具体的な学習の取り組みを打ち合わせます。

4 仕掛けをどうするか。
5 ゴール(つける力)をどう見通すか。
6 今度教師間でどのように情報交換していくか。

 といったことです。打ち合わせは実際に会うことが可能であれば、絶対会った方がいいです。教師同士でお互いの人となりを知って交流をするのは、遠慮も少なくなります。より深まった交流に結びつくと思います。

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【Q12】交流を継続させるための留意点について教えてください
 

その1:インターネット上の掲示板を使って交流活動を継続させるためには、どのような工夫が必要でしょうか。文字入力の不得手な子や低学年の児童ができる交流の方法や教師側の支援の実際を教えてください。

その2:交流が始まったばかりのころは掲示板でのやりとりが盛り上がっていたのですが,しだいに書き込みが少なくなってきました。交流初期に配慮する点や相手意識を保ちながら交流を継続させるための工夫などを教えてください。

 

  交流を継続させるコツというのはたくさんありますが、例をあげると、 「教室に交流相手の写真やプロフィールを掲示する」といったことなどがあります。 こうすることで、日常的に交流相手を意識させるわけです。 交流校同士で少人数のグループをつくり、お互いの顔や名前がわかる範囲で、 世間話などの日常的な交流を続けていくこともいいですね。最初はあまり「学習」を意識させないことも、時には必要ですね。

最初は「ただ楽しい」といったことで交流が盛り上がりますが、時間が経てば飽きてくる子どももでてきます
日常的に相手を意識させる」ようなしかけがあるといいんじゃないでしょうか

 低学年での交流が難しいひとつの原因に、キーボード操作の問題があります。だからといって、低学年で電子掲示板を使って交流ができないというわけではなく、過去には「めでぃあきっず」というプロジェクトで1年生もバリバリに参加していました。キーボードに関するスキルはやる気があれば自然と身に付いていってしまいます。 その間、先生がかわりに代筆したり、得意な子どもが入力する、といった方法をとられる先生が多かったように思います。さらに、高学年のパソコンに長けた子どもたちが低学年の子どもたちに使い方を教えるといったようなことをしていくことで、学校全体の情報教育にも交流学習を活かすことができますね。

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【Q13】児童につけさせたいコミュニケーションスキルとは?
 

 学校間交流学習をするには、相手にわかりやすく伝えたり、相手の意見を聞ける「コミュニケーションスキル」が必要だと思いますが、具体的にはどのようなスキルとして考えたらよいでしょうか? また、具体的なトレーニング方法やその効果について教えてください。

 交流学習の手段としてテレビ会議、電子掲示板、ビデオレターを活用しようと考えています。それぞれの活動をさせる過程で子どもたちに身につく力があると思います。どのような力が身につくのか教えてください。

 

 「話す力」「聞く力」の中身は、「交流場面でどのようなコミュニケーションがされるか?」とイコールですね。交流の相手との関係、手段、交流の仕方によって違ってきます。「相手」では、同学年どうしの交流と、異学年との交流では、そこで起きるコミュニケーションも違うでしょうし、テレビ会議と掲示板でも、必要なスキルは違ってきます。さらに、自分たちの地域の調べたことを分かりやすく伝えるために必要なコミュニケーションと、いっしょに作品づくりをいしていくためでは、それぞれの活動場面のめあてのレベルに落として考えると、異なるコミュニケーションスキルが必要なはずです。

 さらにテレビ会議、掲示板、ビデオレターを、「どのような活動」に使うのかで身につく力も変わってきます。特に、掲示板やテレビ会議は、利用の幅は広いです。

 たとえば、掲示板を使う時に、画像がアップできる掲示板とそうでないもの、書きこみに返事が書けるものと、発言が直線的につみあがっていくものでは、そこでできるコミュニケーションの形も自然に変わってきますね。教育利用を前提にした掲示板では発言に「フラグ(質問!賛成!反対!などのマーク)」をつけられたり、書きこまれた発言と発言にリンクを貼ったり、書きこみを抜き出して要約を作れるものがあります。それぞれに「支援可能な学び」は違ってくるわけです。

 しかもそれを、1人1台の環境で使うのか、2人で相談しながら書きこむのか、クラスみんなで内容を考えてまとめてから書き込むのか?といった使う側の工夫や、調べたことの報告に使うか、共同制作の作品づくりの打ち合わせに使うか、雑談に使うか、といった内容によっても、どんな学びになるのかはかわってきますね。

 テレビ会議でも同様です。1対1かグループ対グループか、学級対学級か。内容も発表会形式か、ディベート形式か、打ち合わせか?といったことになります。

 ビデオレターの場合は、もう少し特定されますね。自己紹介・学校紹介にしろ、取り組みの説明・プレゼンにしろ、1本のビデオテープにまとめて送るという活動は同じです。ビデオ撮影の仕方、内容の伝え方(取材の仕方)、編集の仕方、まとめ方、相手校への送り方、相手校からの感想の扱いまで、一連の活動はすべて学習にできますね。とはいっても時間的な都合、教師のねらいにあわせて、部分的には教師が代行することもアリでしょう。

 また、ビデオレターを1回送っておしまいではなく、相手からの感想をもとに自分たちのビデオの良かったところ、直すべきところを考えたり、相手から送ってもらったものと比較したり、さらに工夫して2本目を作成したりしていけば、「ビデオレターを送ってみよう」という体験が、「相手に伝わるよりよいビデオレターを作る」学習になりますね。

 ということは、交流学習を実施する前の段階で、「相手にはっきり意見を伝えられる」「相手の主張をよく聞いて、自分の考えと比較できる・お互いの主張を調整できる」「その場に応じたやりとりができる」「はじめての人と積極的にかかわることができる」といった身につけてほしいコミュニケーションに対する態度から、交流の相手や交流の仕方、ツールの選び方を考えていくことも1つの方法だと思います。

 スキルの育成方法については、朝の1分間スピーチやディベート、ポスターセッションなどいろいろな方法がありますね。重要なことは、相手校との交流場面「だけ」でコミュニケーション・スキルは身につかないということです。むしろ交流場面をコミュニケーション・スキルを「発揮」させる場面にしたり、自分たちにスキルが足りないことや、逆にスキルが身についたことを「実感」させる場として交流学習を活用することができるのではないでしょうか。

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【Q14】交流学習でしか身につかない力はありますか?
 
 交流学習は,各教科や総合の時間に組み込まれるようになってきましたが,実際のところ,交流学習に取り組んでいるのは地域でもごく一部の学校(学級)です。「交流学習でしか身につかない力」って何でしょうか。これがはっきりすれば,もっと交流学習の「よさ」をアピールしていけると思うのですが。

   いろいろな実践者の方に聞いてみたことがありますが、今のところの結論は、「交流学習しないと身につかない力はない」です。

 それではなぜ交流するのか?というと、いくつか理由を挙げるならば、「伝える相手をつくる文脈づくりがスムースにできる」「調べただけでは実感できない別の土地の子どもたちの言葉を聞かせたい」「同世代の子どもたちと出会うことでクラス内の閉じた人間関係を開かせたい」といったところです。

 もちろん、交流を通して、コミュニケーション力や情報機器を活用する力、いっしょにコラボレーションするスキル、自分自身の学びを振り返る場面づくり、といった学びの場面を作り出すことができます。けれども、交流学習をしなければつかないわけではない。他の手段もいろいろある中で、交流学習という手段を総合や教科の中に取り入れています。

 それでも交流学習を選ぶ理由には「学びのリアリティ」という言葉で表せると思います。メディアを通して伝える実感、学びあう仲間がいる手ごたえ、いっしょに何か活動する達成感、といった学びの中で味わうホンモノ感という意味です。子どもたちが交流を通して真剣に相手に伝えようと頑張ったり、今までまったく知らなかった子どもたちといっしょに活動する楽しさを感じている場面。学んだことの価値や伝え方へのこだわりを何倍にも高め、子どもたちを意欲的にさせる効果があるのではないでしょうか。

ということで、「力」というより「効果」に着目して、交流学習の「よさ」をアピールしていってみてはいかがでしょうか。

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【Q15】交流学習の評価の方法について教えてください。
 
 学校間交流学習を「楽しい」だけで終わらせることなく学習として成立させるためには、児童の活動を把握し、成長を認めたりつまづきを支援したりすることが大切だと思います。交流学習活動の見取り方や評価方法について教えてください。
  交流学習の評価も、総合的な学習の時間や教科の時間で実施されているわけですから、その時間、ねらいにあわせた評価の方法を選ぶことが大前提です。
その上で、交流学習だからこそできる評価の方法には以下のようなものがあります。

【交流相手との相互評価】テレビ会議やビデオレターで相手の話し方、発表の仕方の良い点を見つけさせるなど相互評価を取り入れることができます。図工や音楽で作った作品を評価してもらうこともできますね。

【書きこみの記録を参照する】掲示板やチャットは、ログ(記録)をとることができます。児童の名前で検索をかけることで、その児童の発言を一覧できるものもあります。こういった記録を評価の資料にすることで、交流でどのようなコミュニケーションをしていたのかを評価することができます。

 交流学習での評価のポイントは、交流相手の担任の先生と、評価する観点を伝えておくことです。学年が違ったり、実施する教科・時間が違う場合、いっしょに交流していても、活動のねらい、評価の観点が異なることはよくあります。でも、お互いにどう違うのか?を理解しあっていれば、しっかり相手の学習のメリットになる活動につなげられるのではないでしょうか。さらに、評価の方法、時期についても把握しておくと、交流の「落としどころ」も見えてくるはずです。

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このページは「はじめてみよう!学校間交流学習」 のWebサイトに寄せられた質問をもとに、質問者・回答者の許可を得て再構成したものです

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