つくつたの教材コンセプトについてまとめました。情報活用の実践力を育成する上での課題点を2つに整理しています。入手は、以下のサイトからお問い合わせください。
http://www.ecs-r.co.jp/know/ecs.html

本文は以下のような内容です。

タブレット端末で情報活用の実践力を伸ばす
 

 ipadやアンドロイドOSを搭載したタブレット端末の教育利用の動きが世界各国で広がっている。デジタル教科書の閲覧や、ドリル学習や辞書・図鑑等のコンテンツの利用など、1人1台の端末は学習環境を変える大きな可能性がある。とはいうものの、現実の学校のICT環境は地域格差が大きい。すべての教室にデジタルテレビ、実物投影機を整備した地域もあれば、学校に数台のプロジェクタにとどまっている地域も少なくない。児童生徒1人1台の端末は、フューチャースクール等の実証実験以外には、もうしばらく時間がかかる。そこで本稿では中間的な活用事例として、グループ1台のタブレット端末を用いて児童の情報活用の実践力の伸張を目指す「つくって伝える学びの質的向上を目指したルーブリック連動型Web教材の開発」(略称:つくつた)プロジェクトを紹介する。 
 

情報活用の実践力を育成する際の課題
 

 平成20 年改訂の学習指導要領では、習得・活用・探究の学習活動類型が示された。情報教育の目標の1つである「情報活用の実践力」は、課題解決場面において情報を収集し判断・処理し発信・伝達するための能力であり、特に活用・探究場面の基盤となる力である。この力を育成するためにWebサイトから情報を集める、プレゼンテーションにまとめ相手に伝えるといった学習活動を行う際の2つの課題を指摘したい。

 ひとつは、焦点化の問題である。新聞にまとめる場面を想定してみよう。記事の書き方、写真の選び方、見出し、割り付けなど、1つの紙面にもさまざまな学習課題が複合的に存在する。一方で教科書は、学年をまたぎ、複数の単元の学習を通して身につけるようになっている。結果的に、単元のポイントにしぼって指導したいのにもかかわらず、児童は制作活動の際、さまざまな学習課題に直面してしまう。

 もうひとつの問題は、見極めについてである。学習課題が複合的なメディア制作活動では、それぞれの観点がどの程度できているか判断することは容易ではない。たとえばビデオ制作では、カメラワークや録音の仕方といった撮影場面、テロップや並べ方など編集場面、構成を考える企画段階などが含まれる。観点ごとにどう評価すればよいのか、教科単元のねらいとどう関連づければよいのだろうか。

 これらの問題の解決を目的として、つくつたでは、グループにつき1台のタブレット端末を配布し、Web教材にアクセスできる環境を提供する。 


タブレット端末による自律協働型の学習を支援

 「つくつた」のWeb教材では、新聞、ビデオ、プレゼンテーション、リーフレットの4種のメディア制作を支援する教材にアクセスできる。各メディアには、6つのポイントを設定した。ポイントごとに4段階の評価基準(ルーブリック)を定義し、さらに評価基準ごとに具体例と解説用ムービーを閲覧できるようにした(図1)。児童がグループで本教材を用いることでメディア制作のポイントを自律・協働的に学び、教師は単元のねらいに集中して指導できることが期待される。本プロジェクトは20119月以降に国内の5つの小学校にて国語・社会科・総合的な学習の時間において実証実験を開始する。

 なお、Web教材はタブレット以外にも、PCや電子黒板等からもアクセスし、教師が提示用に利用したり、児童が活用することも可能である。教材や実践例、研究経過等は以下のURLにて公開する。 http://www.ina-lab.net/special/tsukutsuta/